あなたの大切な人が心臓発作で倒れた、心臓が止まっている・・・! 救急車を呼んだけど、到着するまで何もせずに待っていると手遅れになるかもしれない・・・! そんな一刻を争う時に、知っておきたいAEDの基礎知識。 今回は、いざという時に慌てないために、AEDの使い方と設置場所の調べ方を紹介します!

応急処置, 救命救護

180秒が大事!全ての人が知るべきAEDの使い方と設置場所

このコンテンツは、架空のキャラクターである山下リコと伊集院ヨシミが、現役の医師と看護師監修のもと、私たちの健康に関する話をできるだけわかりやすい言葉を使って解説するブログです。


こんにちは!
ユリカモメ病院の新人ナース、山下リコです。

あなたの大切な人が心臓発作で倒れた、心臓が止まっている・・・!
早く救急車を呼ばないと・・・!

あなたの周りの人が倒れたとき、あなたはまず救急車を呼ぶと思います。

でも、救急車が到着するのは、全国平均で「8.3分」かかるということを知っていますか?(消防庁 平成25年版「救急・救助の現状」より)

そして、救急車が到着するまでに、生死が決まるケースも多いということも。

実は、心臓発作の場合、心停止してから「3分」経つと、生存率は「50%」になるといわれています。
心臓は、全身に酸素を含んだ血液を送り込む、いわば、ポンプの役割を果たしています。
心臓が停止したら、酸素を含んだ血液が全身に送り出されなくなり、細胞に酸素が届けられなくなるからです。

そして、心停止から10分を超えた場合の生存率はさらに低く、「数%」にまで下がるといわれています。

つまり、心臓発作で心停止した場合、救急車が到着するまで何もせずに待ち続けていると、救急車が到着する頃には手遅れになっているケースが多いのです。

そこで最近、行政が啓蒙を始めているのが「AED」の使用です。

AED

AEDとは「Automated External Defibrillator」の略で「自動体外式除細動器」のことを指します。
「心室細動」や「無脈性心室頻拍」といった“けいれんした状態の心臓”に電気ショックを与えて、正常な心臓のリズム(心拍)に戻す効果があります。

心臓がけいれんすると、心室が小刻みに震えて全身に血液を送ることができなくなるので、その心臓の震えをどれだけ早く修復できるかが重要になります。

AEDはテレビのニュースなどでもその名前を聞くことが増えたので、ご存じの方も多いと思いますが、もし、あなたがAEDを使わなければならない状況に立たされた時、はたして「3分」という時間の中でAEDを見つけ、それを適切に使えるでしょうか?

ほとんどの人は「そんなの無理・・・!」と仰るかもしれません。
ですが、先にお話しした通り、相手が助かるかどうかは心停止から3分間の処置にかかっている、といっても過言ではないんです。

実際のところ、


  1. AEDがどこにあるか?という「設置場所」
  2. AEDをどう使えば良いか?という「正しい使い方」

このふたつさえ抑えておけば、短い時間であっても、AEDを使うことはできます。

AEDを正しく使うためには、行政などがおこなっている「講習」を受けることをオススメしますが、今回は、講習を受けたことのない人にもAEDのことを知っていただく意味で、AEDの「設置場所」の見つけ方や、「使い方」のポイントをお教えします!

AEDのニュースが増えていますがAEDの使い方って本当に知っていますか?

AEDを使ったケースと全症例のケースで、生存率には約4倍の差!

AEDの解説をおこなう前に、総務省の消防庁が発表している“あるデータ”をご紹介しておきます。
これは、心肺停止時にAEDを使った場合と全症例中の「1ヶ月の生存率」を比較した表です。(参考:総務省消防庁 平成24年版「救急・救助の現況」

心臓が原因の心肺機能停止の傷病者の1か月後の生存率比較表

AEDを使ったケースと全症例のケースでは、生存率には約4倍もの差があるんです。

AEDを一般人が使えるようになったのは、2004年から!

実は、AEDを一般の人が使えるようになったのは、2004年7月からなんです。
厚生労働省より、「非医療従事者である一般市民が救命の現場でAEDを使用することは、医師法第17条に違反しない」という通達が出されたのです。

つまり、一般の人がAEDを使いはじめてから、まだ10年しか経っていません。
だから、AEDに関する知識はまだまだ一般の人たちには浸透していないのが実情です。

でも、AEDを使うべき状況は、些細な日常から発生するんです。
たとえば、子供が野球をしている時、勢いよく飛んできた打球が胸に当たり、心室細動を起こす場合があります。
また、マラソン大会などに出場した際、脱水が原因で血液中のカリウムの量が不適量になった場合にも、心室細動が起こることがあります。
さらには、電化製品などの使用方法を間違えて感電した場合にも、心室細動は起こります。

子供が野球をしている時、勢いよく飛んできた打球が胸に当たり、心室細動を起こす場合があります

だから、普段健康だからといって心室細動のリスクがない、というわけではないのです。

心室細動は、心臓の心室が小刻みに震えて全身に血液を送ることができない状態。
心停止の一病態である。
心臓は電気刺激が順番に伝わることによって規則的に収縮し、血液を送り出すポンプの役目を果たしている。
心室細動は、この電気刺激がうまく伝わらず、心筋が無秩序に収縮している状態。
平常だった心拍が急に200以上に上がり、その直後0になることもある。
ドラマなどで手術中に異様に心拍数が上がる場面があるが、これは心室細動の状態を描写している。

Wikipediaの心室細動の解説より

ちなみに、人の体を用いた心臓マッサージの練習が固く禁じられている理由も、心室細動を起こす可能性があるからなんです。

正しいタイミングで動いている心臓に余計な衝撃が加わると、心室細動の原因になってしまうので、遊び心で胸のあたりを叩いたりすることは絶対に避けるようにしてください!

AEDってどこに設置されているの?
AEDの「設置場所」を知っておこう!

AEDの使い方を知っていても、AEDの設置場所を知らないと、いざという時に使えません。
ですので、まずは、AEDがどこに設置されているかを知っておきましょう。

実は、AEDには法的な設置義務や設置基準はありません。
そのため、必ずしも、あなたの近くにあるとは限らないのです。

ですが、日本心臓財団という公益財団法人がAEDの設置を推奨し、設置基準を設けています。
それは以下のようなものです。


●AED設置必須(クラスⅠ)

  1. 駅(1日乗降客数1万人以上)
  2. 空港
  3. フェリー
  4. 新幹線
  5. 学校
  6. スポーツ施設
  7. 大規模な行政施設(市役所・図書館など)
  8. 大規模な商業施設
  9. マラソン大会、屋外プールなど、臨時・シーズンのみで人が集まるイベントや場所

●AED設置必須(クラスⅡ)

  1. 駅(1日の乗降客数1万人未満)
  2. 中規模の行政施設(公民館など)
  3. 中小規模の商業施設
  4. 大規模な集合住宅(アパート・マンション)

ですので、上記の基準に該当する場所にはAEDが設置されている場合が多いです。

また、日本心臓財団は、300mごとのAEDの設置を啓蒙しています。
これは、150m/分というスピードの早足で取りに行けば、その間のどこからでも1分以内でAEDが届き、5分以内に除細動が可能となるからです。

これはあくまでも、日本心臓財団の提唱する設置基準ですが、もしあなたがAEDを設置する側になった時には覚えておくと良いでしょう。
詳しくは、日本心臓財団のサイトをご確認ください。

ちなみに、イベントなどでAEDの設置が必要な場合には、AEDをレンタルすることもできます!


AEDの場所を見つけるためには、日頃から「どこにAEDがあるか?」を注意深く観察する以外に、AEDが設置されている場所がまとめられたWebサイトやスマホアプリを使うこともオススメです。
特に、アプリはいざという時のためにインストールしておくことをオススメします。

●AED設置場所検索
http://www.qqzaidan.jp/AED/aed.htm

●日本全国AEDマップ
http://aedm.jp/

●日本全国AEDマップ(iPhoneアプリ)
https://itunes.apple.com/jp/app/id421697422

●日本全国AEDマップ(Androidアプリ)
https://play.google.com/store/apps/details?id=appinventor.ai_oaniijuf.NipponAED

iPhoneアプリの「全国AEDマップ」

↑iPhoneアプリの「全国AEDマップ」を立ち上げてみた例。
場所名を入力すれば、近くにあるAEDの場所を教えてくれる。

この記事を読んだあとは、ぜひ、あなたのお住まいや職場の近くのどの場所にAEDが設置されているかを確認するようにしてくださいね。

※上記で提示されている情報は最新ではない場合もあるため、その場所にAEDがきちんと備えられているかをご自身の目で確認していただくことをオススメします。

AEDの「使い方」を、救命フローで学ぼう!

続いて、AEDの使い方を解説します。

AEDの使い方を学んでいただくには、消防庁が発表しているマニュアルをお読みいただくのがベストです。
これはPDFファイルなので、いざという時のために、スマホなどにダウンロードして常備しておいてくださいね。

救命処置の流れ【PDF】のダウンロード(消防庁)

今回は、この消防庁のマニュアルを参考にし、AEDを使った救命フローをご紹介します。
「心停止している人を見つけた」というシチュエーションで展開していきますので、チェックしてください。

1、傷病者(心停止している人)を発見した

意識(反応)の有無を確認します。

2、その人の意識がなかったら・・?

あなた一人で対応すると大変なので、まずは周りの人に協力を仰いでください。
そして、周りにいる人たちに「119番通報してください!」「AEDを持ってきてください!」と依頼してください。
もし、あなた一人しかいない場合は、まず119番通報し、救急車を呼んでおきます。そして、救急車が到着するまで以下の手順で救護をおこなってください。

3、呼吸を確認します

傷病者が正常な呼吸をしているかを確認します。
もし、胸やお腹の動きがなく、呼吸音が聞こえない場合は、正常な呼吸ができていません。

また、しゃくりあげるような「途切れ途切れ起きる呼吸」の場合も、正常ではありません。

4、心肺蘇生の開始

  1. 胸骨圧迫を30回行います。胸の真ん中を強く、早く、絶え間なく押します。
    速度は1分間に100回以上、押す深さは、成人の場合で5センチ以上です。(一次救命処置BLS ガイドラインG2010より)

    心肺蘇生

  2. 人工呼吸を2回行います。
    (ただし、心停止の人の場合は人工呼吸は「省略可能」であるという見解が消防庁のマニュアルに記載されています)
  3. 「1」と「2」を繰り返します。
    (絶え間なく行います。救急隊に引き継ぐか、意識が回復するか、AEDが到着するまで行います)

5、AED到着

  1. AEDの電源を入れる
    (電源ボタンもしくは、フタを開ける)
  2. AEDの音声ガイドに従って、パッドを傷病者に貼る
    (素肌に貼る必要があるため、衣服などは除きます。この時、できれば「AEDを使うので服を取り除きます!」などの声をあげてから衣服を取り除きましょう。服を破いたら痴漢と勘違いされた、というツイートが話題になっていましたので、念のための対応です)
  3. AEDで解析が開始されます。
    AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。
    充電には数秒かかります。
  4. 充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージが流れ、ショックボタンが点灯し、充電完了の連続音が出ます。
  5. 充電が完了したら、「みんな離れて!」と注意を促し、ショックボタンを押します。

    (この時、傷病者には、誰も触れてはいけません!誤って触れてしまうと、感電してしまいます)

    AED

  6. 電気ショックが完了すると、「ただちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください」などの音声メッセージが流れるので、ただちに胸骨圧迫を再開します。
    心肺蘇生を2分間、5サイクルおこないます。ただし、次のAEDの音声メッセージまで時間が残った際は、5サイクルが終了しても心肺蘇生を行ってください。
    (胸骨圧迫30回と人工呼吸2回で1サイクルです)
  7. 心肺蘇生法を再開して2分経ったら、AEDは自動的に心電図の解析を再び行います。
    音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れます。
  8. 以後は、AEDによる心電図の解析に戻ります。
    必要であれば、また電気ショックと心肺蘇生法を2分おきにおこないます。

AEDの詳しい使い方は以下の動画がオススメです。
こちらの動画もブックマークしておいてくださいね。

AEDを使う際に注意すべきこと!

AEDを使う際に注意すべきことをまとめました。
AEDは身体に電気を伝える機械ですので、電気が通らない障害物は取り除く必要があります。
特に、胸毛の濃い方に使う際には注意してください。

  1. AEDを利用する際には、アナウンスが流れるのでそれに従います。
  2. 除細動(ショック)を与える際は、誰も傷病者に触れていないことを確認してから行いましょう。
    (傷病者に触れてしまうと感電します!)
  3. (服の上からAEDを乗せると通電しないので、服は脱がせて、アクセサリーは外しましょう。
        もし服が脱げない場合は、備え付けのハサミなどを使って、服を取り除きましょう。
        ※アクセサリーやブラのホックは、金属のため、感電する場合があります。)
  4. 胸毛が濃い場合、服を着ている状態と同じように、AEDが通電しない場合があります。
    そのため、AEDが通電しないようであれば、セットしたパッドで胸毛をはがします。そして、予備パッドを使ってAEDの使用を再開します。
    AEDに救急セットが収納されている場合があります。救急セット内の脱毛テープまたはカミソリなどを使ってください。
  5. 汗などで、身体が濡れているのであれば、拭き取ります。
  6. パッドの位置を確認し、パッドに書かれている絵の通りに貼ります。
  7. パッドを素肌にきれいに密着させて貼りましょう。
    (きれいに貼れていないと火傷します!)
  8. ペースメーカーが埋め込まれている場合、胸に数センチの小さい傷跡があるので、そこから、数センチ離して使いましょう。

もし、AEDが通電しない場合は、胸毛をはがしたりする必要があるんです!

いざという時のために!AED講習を受けておくと安心です!

いかがでしたか?
今回の記事をきっかけに、AEDについて知識をもった方が増えれば、多くの命が救われることになると思います。

また、全国の行政などでは、AEDの講習が実施されています。
AEDをレンタルしている民間企業でも講習がおこなわれているようですので、大切な人を守るために、ぜひ一度、AEDの講習を受けてみてください。

こちらの記事でも、看護師向けにAEDの使用方法を説明していますので、興味のある方は確認してみてくださいね。

師長!
AEDに関する知識、もっと多くの方に知ってほしいですね。

そうね。周りの人が元気な状態の時こそ、救護の方法について興味を持ってもらえるとうれしいわね。


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