あなたは、緊張した時などにお腹が痛くなることはありませんか? もしかしたらそれは、ただお腹を壊しているのではなく、「過敏性腸症候群(IBS)」という病気かもしれません。 過敏性腸症候群(IBS)は検査ではわからず、問診の結果、判明する病気です。 今回はこの病気の原因と、改善するための3つの治療法を紹介します!

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その下痢や便秘の原因はこれかも!過敏性腸症候群の診断方法と治療法

このコンテンツは、架空のキャラクターである山下リコと伊集院ヨシミが、現役の医師と看護師監修のもと、私たちの健康に関する話をできるだけわかりやすい言葉を使って解説するブログです。


仕事などでストレスが溜まったとき、電車の中でふと気付いたとき「ああ、お腹が痛い・・・」と、トイレに駆け込むことが多かったりしませんか?

体調の悪いビジネスマン

こんにちは!
ユリカモメ病院の新人ナース、山下リコです。

以前、免疫力と腸内細菌との関係を紹介した記事で、腸は「第二の脳である」とお伝えしました。
実は、腸は脳と同じように、ストレスを敏感に感じやすい場所なんです。

例えば、緊張したらお腹が痛くなったり、怒られたりしたらお腹が痛くなるのは、過度に受けたストレスが腸に影響しているんですね。
そして、そんなお腹の痛みが慢性化してしまった状態を「過敏性腸症候群(IBS)」と呼びます。
(※IBSとは「irritable bowel syndrome」という英語の略です)

過敏性腸症候群になると、ちょっとしたことですぐにお腹が痛くなったり、下痢や便秘になりやすくなってしまいます。
また人によっては、ガスが出やすくなったり、お腹の音が鳴りやすくなります。

そうなった場合、デリケートな方だと、「人前でガスが出ないだろうか・・・」「人前でお腹の音は鳴らないだろうか・・・」と心配されるため、さらにストレスを抱えてしまいます。
そうなると、ストレスがさらに増幅され、ますます過敏性腸症候群(IBS)がひどくなる・・・という悪循環が生まれます。

お腹がすぐに痛くなったり、お腹が鳴りやすい人がいたら、緊張を和らげてあげてくださいね。

実はこの過敏性腸症候群(IBS)、日本人の成人で、10~20%くらいの人がかかっているといわれています。

ですから、あなたも気づかない内に過敏性腸症候群(IBS)になっているかもしれないんです!

IBSは特殊な病気ではありません。

それどころか日本人の場合、全人口の10~20%程度にIBSがみられるとも言われるくらい「よくある病気」です。

引用元:過敏性腸症候群(IBS)-桜公園クリニック

この病気は、特に、ストレスへの耐性ができていない20~30代の若い人たちに多いといわれています。
しかも、年々増えているんです。

若手に過敏性腸症候群が増えている

もし、あなたが管理職で、自分の部下がよくトイレに行っているのだとしたら、彼らは過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
だとしたら、彼らがストレスを溜めないよう、少し気を遣ってあげてくださいね。

・・・というわけで、今回は、多くの人を悩ませている過敏性腸症候群(IBS)について取り上げます。
実はこの病気は、“あること”に気を配れば、改善していくことも分かっています。

それではまいりましょう!

消化器科を受ける人の3分の1が過敏性腸症候群!?
でも、過敏性腸症候群は検査では分からない!

過敏性腸症候群に悩む女性

「最近、お腹がすぐに痛くなる・・・」
「ずっと下痢気味なんです・・・」
「便秘がちで、便が硬くてコロコロしてるんです・・・」

そういった悩みで病院の消化器科を受ける方は多くおられますが、その3分の1が過敏性腸症候群(IBS)である、というデータがあります。

ただ、この病気が厄介なのは、検査をしてもまったく異常がないということです。
一般的には、腸に異常があるケースとしては、潰瘍があったり、ガンがあったりするわけですが、この病気の場合は検査をしても分からないのです。

つまり、下痢や便秘の悩みで消化器科を受診した際、検査によって異常が認められない場合に、過敏性腸症候群(IBS)を疑うことになります。

過敏性腸症候群(IBS)には以下の四つのタイプがあるといわれています。


1、下痢型
突然、便意が襲い、下痢になるタイプです。
通勤電車などで下痢になった経験があると、その時の不安感がストレスとなり、通勤電車などに乗るたびに下痢が起こりやすくなります。
軟らかい便や、水のような便が25%以上ある場合を指します。
2、便秘型
腸管がけいれんを起こし、便が停滞してしまいます。そうなると、便から水分が奪われ、固くなった便はコロコロとした形になります。
そうなると、ますます便が外に出てきにくくなり、便秘が悪化します。
硬い便や、コロコロした便が25%以上ある場合を指します。
3、交代型
上記の「下痢型」と「便秘型」の症状を交互に繰り返してしまう症状です。
4、分類不能型
上記のいずれも満たさないもの。

これらの症状は他の腸の病気でもみられますが、過敏性腸症候群(IBS)かどうかの診断基準としては、先程も説明したとおり、検査によって異常が認められるかどうか、です。
もし、検査をしても異常がなければ、過敏性腸症候群(IBS)を疑います。

その際、患者さんが訴える自覚症状で診断する方法があります。
「ローマ基準」という診断基準が世界的に使われています。

過敏性腸症候群かどうかを診断する「ローマ基準」とは?

ローマ基準とは、1988年にローマで開催された「第13回国際消化器病学会」で設けられた診断基準です。
過敏性腸症候群(IBS)の問題は、日本だけでなく、世界中で取り上げられている問題なんですね。

国際的な学会

当時設けられた基準を「RomeⅠ(ローマ・ワン)」と呼び、2006年に設けられた最新の基準を「RomeⅢ(ローマ・スリー)」と呼びます。

今、多くの病院の消化器科が、この「RomeⅢ(ローマ・スリー)」を診断基準とし、過敏性腸症候群(IBS)の診断をおこなっています。

では、この「RomeⅢ(ローマ・スリー)」という診断基準を紹介しましょう。


過去3ヵ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上がみられる場合、過敏性腸症候群(IBS)を疑うことになります。

  1. 排便によって症状が軽減する
  2. 発症した時に、排便頻度の変化がある
  3. 発症した時に、便形状(外観)の変化がある

この診断基準に当てはまる場合、あなたは過敏性腸症候群(IBS)かもしれないんです。
(もちろん、検査を経た上での診断結果なので、検査も受けずに自分が過敏性腸症候群だと安易に決めつけないようにしてくださいね)

日本だけではなく、世界中に多くの患者さんがいる、この過敏性腸症候群(IBS)ですが、その原因は何なのでしょうか?
というわけで、続いては過敏性腸症候群(IBS)の原因についてお話します。

過敏性腸症候群の原因はストレスだった!

ストレスに悩む女性

過敏性腸症候群(IBS)の原因は、ハッキリと分かっていませんがストレスが重大な原因だと考えられています。

最初にお話した通り、腸は脳と同じようにストレスを敏感に感じやすいです。
そのため、過敏性腸症候群はストレスに耐性が弱い20~30代の若い世代に増えているといわれています。

過敏性腸症候群の治し方

さて、この過敏性腸症候群(IBS)は異常が見つからないために治療が難しかったのですが、今は以下の3つの方法で治療できることがわかりました。


  1. 食事療法
  2. 運動療法
  3. 薬物療法

これらの治療法を順に詳しく解説していきますね。

1、食事療法では「腸内細菌」を意識した食事を摂る

食事療法

まず食事療法ですが、「下痢型」の人は、香辛料、冷たい食べ物や脂っこいものを控えるようにします。
またアルコールを摂りすぎると、下痢がひどくなることがあります。

「便秘型」の人は、香辛料など刺激の強い食品は避け、水分や食物線維を多く摂るようにしましょう。

また、過敏性腸症候群の症状改善には、腸内細菌バランスの改善も有効です!

以前、免疫力アップの記事でもお話しましたが、私たちの腸ではたくさんの腸内細菌が暮らしています。

こうした細菌の中には、私たちにとってプラスに働いてくれる「善玉菌(ぜんだまきん)と、マイナスに働く「悪玉菌(あくだまきん)がいます。

通常は、私たちの腸の中で善玉菌と悪玉菌はバランスを保って暮らしていますが、過敏性腸症候群になると悪玉菌の量が増えてしまうことが分かっています。
ですから、腸内細菌バランスの改善のために、ヨーグルトや乳酸菌飲料、オリゴ糖や食物繊維を意識して摂取するようにしましょう。

2、運動療法では、ストレス解消や気分転換を意識する

適度な運動

過敏性腸症候群の大きな原因は、ストレスでしたね。
このため、ストレスを溜め込まないことが、この病気の症状を改善するのには欠かせません。
趣味に没頭する時間を作る、休息をしっかり取る、家族や友達とコミュニケーションをとるなど、自分がリラックスできる方法を探ってみてください。

なかでもオススメなのは運動療法です。
運動療法では、過度な負担を身体にかけるのではなく、ストレス解消や気分転換を意識します。
たとえば、ストレッチやウォーキングなどの軽い運動を取り入れてみましょう。

また、下記記事ではさまざまなストレス解消法を紹介していますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。

3、薬物療法

女医が過敏性腸症候群を解説

下痢や便秘の症状があっても、過敏性腸症候群だと思わずに市販薬を使用している人が多いようです。
市販薬は症状を緩和してくれますが、常用していると体が薬に慣れてしまって効きにくくなります。

このため、下痢や便秘、腹痛などの症状が長く続く場合は、市販薬に頼り過ぎずに「胃腸内科」に相談することをオススメします。
胃腸内科では腸の精密検査ができるので、過敏性腸症候群なのかを判別できます。

その結果、過敏性腸症候群だと判明したら薬物療法が行われます。
薬物療法では、腸の働きを整えたり便の硬さを改善することを目的として、次のような薬が処方されます。


1.セロトニン3受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく)
ストレスを感じた時に腸の粘膜から分泌される「セロトニン」という物質の働きを抑えます。
2.高分子重合体(こうぶんしじゅうごうたい)
水分を吸収してゲル化することで、便の硬さを調節してくれます。
下痢の場合は余分な水分を便から吸収してくれますし、便秘の場合は必要な水分を便に与えてくれるので、繰り返し型の症状の人に有効な薬です。
効果が現われるまでに1~2週間かかります。
3.抗コリン薬
下痢や腹痛などの症状改善のために処方されます。
腸の異常な運動を抑えてくれます。
4.整腸薬
「ビオフェルミン」や「ラックビー」などの腸内環境を整える薬です。
腸内細菌バランスを整えてくれます。
5.下剤
下剤には、便に水分を与えるタイプと腸を刺激するタイプの2つがあります。
過敏性腸症候群の便秘症状の治療に広く使われているのは、便に水分を与えるタイプです。
代表的なものには、「酸化マグネシウム」があります。
6.その他(抗うつ薬など)
過敏性腸症候群の最大の原因がストレスなので、ストレスが深刻な場合は心療内科を紹介されるケースがあります。
その場合、「抗不安薬」「抗うつ薬」などを使うケースがあります。

薬物療法

この中で、特に注目を集めているのが「セロトニン3受容体拮抗薬」です。
セロトニンとは、私たちを幸せな気持ちにしてくれる神経伝達物質。
この物質が安定することで、私たちのストレスは緩和されます。

「セロトニンが幸福感の源だとしたら、もっともっと増えるようにしたら良いのでは?」という方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、セロトニンが過剰に分泌されてしまうと、腸の運動がおかしくなる原因となります。
セロトニンが多すぎると、腸がいわゆる「ハイ」の状態になってしまい、変な動きを繰り返すので、腹痛や下痢が起こってしまうわけです。

ですので、セロトニンは増やすのではなく、“安定させる”ことが重要なんですね。

さて、このセロトニンですが、実はその大部分が腸で作られています。

実は、私たちを幸せな気持ちにしてくれる神経伝達物質である「セロトニン」は、脳ではなく、腸の中でその大部分が合成されています。

例えば、「うつ病」はセロトニンの減少が原因で発症する病気です。
つまり、腸の調子が悪くなると、セロトニンの生成量が減り、うつ病になりやすいということが分かります。

引用元:免疫力を高めるなら「腸内細菌」を増やそう!免疫力アップ 7つの方法

つまり、セロトニンを安定させるということは、腸内のセロトニンを安定させることなんです。
過敏性腸症候群(IBS)が起こる原因は、外部からのストレスだけではなく、ズバリ、腸自身にもあったんですね。

「腸内セロトニン」に注目した治療薬が話題に!セロトニンのバランスをとることで、下痢や腹痛は改善します!


いかがでしょうか。

過敏性腸症候群(IBS)は 「各駅停車症候群」とも呼ばれることもあります。
なぜなら、ひどい場合には、長時間電車に乗ることができず、各駅停車する度にトイレに行きたくなるからです。

それくらい、日常生活に支障をきたす場合もある過敏性腸症候群(IBS)。

「自分もこの病気かもしれない・・・」という方は、早めに医療機関を受診して、医師に判断を仰ぐようにしてくださいね。

人生の幸せは「腸」がつくる!です。

腸腸腸、いい感じ♪

腸腸腸腸、いい感じ♪

腸腸腸、いい感じ♪

腸腸腸腸、いい感じ♪

・・・リコちゃん、あなた、ラブレボリューション世代ではないはずなのに、なぜ、私についてこれるの・・・?

ふふふ。

夜勤明けのナースはみんな“モーニング娘”じゃないですか。

なっ・・・!!

この記事の監修にご協力いただきました!

安田洋先生

安田洋先生

目黒通りハートクリニック院長
医学博士
循環器専門医
東京内科医会理事
公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル理事

平成25年、目黒区鷹番に目黒通りハートクリニックを開院。
生活習慣病・心臓病のスペシャリストであるが、AGA/ED治療やピル外来・プラセンタ注射などあらゆる悩みに対応できるクリニック院長として活躍中。
とくに被曝が全くないエコー超音波検査による診断・治療がクリニックの特長。

先生からのメッセージ

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