突然ですが、あなたは口を大きく開けるときに、あごに痛みを感じたり、「カックン」と音がしたりしませんか?このような症状に心当たりがあったら、「顎関節症(がくかんせつしょう)」かもしれません。もし、顎関節症になってしまうと、あごの関節の痛みはもちろん、頭痛や肩こりなどの症状が出ることがあります。最悪の場合は手術が必要になったりすることもあるんです・・・!今回は顎関節症の症状や原因、治し方について説明します。

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口を開けるとあごが痛い人は要注意!顎関節症の原因と治し方まとめ

このコンテンツは、架空のキャラクターである山下リコと伊集院ヨシミが、現役の医師と看護師監修のもと、私たちの健康に関する話をできるだけわかりやすい言葉を使って解説するブログです。


こんにちは!
ユリカモメ病院の新人ナース、山下リコです。

突然ですが、あなたは口を大きく開けるときに、あごに痛みを感じることはありますか?
もしくは、「カックン」などの音が聞こえたことはありませんか?

このような症状に心当たりがある人は、「顎関節症(がくかんせつしょう)の可能性があります。

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎関節症とは、あごの関節に何らかの問題があることで、口が開けにくくなったり、痛みや違和感があったりする状態のことを指します。
顎関節症の主な症状は、以下の3つです。


  1. 口を大きく開けられない
  2. あごを動かすと、「カックン」「ジャリッ」「ミシミシ」などの音がする
  3. あごの関節や、頬や側頭部の筋肉が痛い

顎関節症の症状

こうした症状を、なんと成人の約半数が経験しています・・・!
そして、女性の患者さんが多いことが特徴です。

女性の患者さんが多い理由はハッキリとわかっていませんが、女性は男性よりもあごが小さく、骨格が小さいので顎関節がダメージを受けやすいからではないかといわれています。
(参考:顎関節症について|よしの歯科医院

また、顎関節症になってしまうと、あごの痛みだけでなく、頭痛や耳鳴り、肩こりなどの症状へと広がってしまうことがあります。
そして、さらに悪化すると、あごの関節の骨が変形してしまい、手術が必要になることも・・・!

手術をすると、入院が必要になりますし、リハビリにも数ヶ月かかります。
そんなことになったら、大変ですよね・・・。

こうした事態にならないためには、「もしかしたら私は顎関節症かも」と思ったときに、すぐ対処することが大切です。

というわけで、今回は顎関節症の症状や原因、治し方について紹介します。

それではまいりますっ !

顎関節症のセルフチェックをしよう

もし、あなたが顎関節症なのか気になっている場合は、以下のセルフチェックを試してみてください。

顎関節症のセルフチェック

セルフチェックはカンタンです。
以下の4つの質問に回答し、それぞれの答えの横に書かれている点数を合計するだけです。

さて、あなたの点数は何点でしょうか・・・?
(参考:顎関節症のセルフチェック方法|一般社団法人 日本顎関節学会


【質問1】
口を大きく開けたとき、人差し指から薬指までの3本指を縦にして、口に入れることができますか?

  1. すっと入る(1点)
  2. ほぼ問題ない(2点)
  3. どちらともいえない(3点)
  4. やや困難(4点)
  5. まったく入らない(5点)

【質問2】
口を大きく開け閉めするとき、あごの痛みはありますか?

  1. まったくない(1点)
  2. たまにある(2点)
  3. どちらともいえない(3点)
  4. しばしばある(4点)
  5. いつもある(5点)

【質問3】
口を大きく開けたとき、口は縦にまっすぐに開きますか?(鏡を見てチェックしてくださいね)

  1. いつもまっすぐ(1点)
  2. たまに曲がる(2点)
  3. どちらともいえない(3点)
  4. しばしば曲がる(4点)
  5. いつも曲がる(5点)

【質問4】
フランスパンやスルメなどのかたい食べ物を食べるとき、あごや顔が痛みますか?

  1. 痛まない(1点)
  2. たまに痛む(2点)
  3. どちらともいえない(3点)
  4. しばしば痛む(4点)
  5. いつも痛む(5点)

あなたの点数は何点でしたか?

もし、このテストの合計点数が9点以上だとしたら、顎関節症の危険性が高いです。
また、点数が9点未満でも、【質問2】の答えが「たまにある(2点)」以上だった場合は顎関節症の疑いがあります。

もし、顎関節症の疑いがあった場合は、早めに歯科や口腔外科などの専門医に相談してくださいね。
(病院でおこなわれる治療法については、のちほど詳しく説明します)

顎関節症の場合は歯科へ

このチェックテストで顎関節症の疑いがある人は意外に多いかもしれません。
先ほどお話ししたように、顎関節症の症状を経験している人は成人の半数にものぼるからです。

それにしても、なぜそんなに多くの人が顎関節症の症状に悩まされているのでしょうか?

それは、顎関節症の原因にはさまざまな原因があるからなんです・・・!

というわけで、次に、顎関節症の原因についてお話ししますね。

顎関節症は、ストレスや噛み合わせなど、複数の要因が重なって発症する

顎関節症は、顎関節症になりやすい原因がいくつか重なることで発症するといわれています。

その原因とは、下記の5つです。


1.ストレスが溜まっている
ストレスを感じると、無意識に歯を食いしばる「噛み締め」をしてしまうことがあります。
噛み締めをしてしまうと、あごの関節や筋肉に強い負担をかけるので、顎関節症のリスクが高まってしまうんです。
とくに、神経質な性格の人や我慢強い人はストレスを溜めこみやすく、噛み締めをしてしまいがちなので気をつけてくださいね。
ちなみに、睡眠中の歯ぎしりも噛み締めの一種なので、歯ぎしりのクセがある人は要注意です!
2.歯の噛み合わせが悪い
歯の噛み合わせが悪いと、片側のあごだけに力が加わってしまい、顎関節に負担がかかります。
3.あごの骨格が小さい
あごが小さいと関節も小さいので、噛むときにほかの人よりも力が必要となり、その結果、アゴへの負担が大きくなります。
4.あごに負担をかけるクセがある
頬杖やうつ伏せ寝、片側の歯だけで噛むクセなどがあると、片側の顎関節に大きな負担がかかります。
5.あごのケガをしたことがある
あごの打撲や交通事故などによってあごにケガをしたことがあると、通常の人よりも顎関節に負担がかかります。

顎関節症の要因

あなたに当てはまる要因はありましたか?

もし、今は顎関節症の症状が出ていなくても、上記の要因が重なると、突然顎関節症を発症することがあります。
注意してくださいね。


では、あごがどんな状態になると、顎関節症になってしまうのでしょうか?

顎関節症の状態は、4つに分類されます。
どの分類なのかを判断するのは専門医に診ていただくことをオススメしますが、それぞれの分類において、どのような違いがあるのかをカンタンに説明しておきますね。

顎関節症は、ダメージを受けている箇所で分類される

顎関節症は、ダメージを受けている箇所によって以下のように4つに分類されます。


  1. 顎関節円板(がくかんせつえんばん)障害
  2. 咀嚼筋痛(そしゃくきんつう)障害
  3. 顎関節痛障害
  4. 変形性顎関節症

それぞれについて、紹介していきますね。

【顎関節症の分類】
1.顎関節円板(がくかんせつえんばん)障害

「顎関節円板(がくかんせつえんばん)障害」とは、あごの関節である「関節円板(かんせつえんばん)が、ズレてしまっている状態です。

Fotolia_109377689_XS関節炎版の図

関節円板にズレが生じると、関節に痛みを感じたり、関節を動かしたときに音がしたり、口が開きにくかったりします。
実は、顎関節症患者の6~7割が、この顎関節円板障害だといわれています。

【顎関節症の分類】
2.咀嚼筋痛(そしゃくきんつう)障害

「咀嚼筋痛(そしゃくきんつう)障害」とは、食事をするときに使う「咀嚼筋(そしゃくきん)という筋肉が、噛み締めなどによってダメージを受けることによって起こります。

咀嚼筋とは、なにかを噛むために下あごを動かす筋肉の総称で、側頭部にある「側頭筋(そくとうきん)や顎関節の外側にある「咬筋(こうきん)などが含まれます。

咀嚼筋

咀嚼筋は大きな筋肉で、頭や首や肩とつながっているため、咀嚼筋痛障害になると、頭痛や首の痛み、肩こりなどを感じることがあります。

【顎関節症の分類】
3.顎関節痛障害

「顎関節痛障害」は、歯の噛み合せが悪い状態で食事を行うことで、顎関節に強い力が加わり、顎関節がねじれている状態です。
あごを動かすと、顎関節に強い痛みを感じます。

【顎関節症の分類】
4.変形性顎関節症

「変形性顎関節症」とは、長期間、あごの骨に負担がかかり続けることによって、下あごの骨が変形してしまった状態です。
この変形性顎関節症の患者さんは、長い間、顎関節症を患っている人が多いため、年齢層が高い傾向があります。


このように、顎関節症は4つの症状に分類されます。
歯科や口腔外科などを受診すると、あなたの顎関節症がどの症状にあたるのかを教えてくれるので、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

専門医に相談

では、顎関節症の治療はどのように行われるのでしょうか?
次に具体的な治療法について説明していきますね。

顎関節症の治療は、手術をしない「保存療法」が基本

顎関節症の治療は、手術をしないで治療する「保存療法」が基本となっています。

具体的には、以下の6つの治療法があります。


  1. スプリント療法
  2. マイオモニター療法や温湿布
  3. 薬物療法
  4. パンピング・マニピュレーション
  5. 関節腔内(かんせつくうない)洗浄療法
  6. 関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術

これらの治療は、原因や症状などに合わせて組み合わされる形で行われます。
それぞれの治療法について、詳しくお伝えしていきますね。

【顎関節症の治療法】
1.スプリント療法

「スプリント療法」とは、マウスピースのような形をしたスプリントとよばれる器具を歯に装着する方法です。

スプリントは、片側の歯に装着して使用します。
たとえば、上側の歯に装着するスプリントの表面は、下側の歯型に合わせて作られています。
そのため、スプリントを使用していくと、少しずつ正しい噛み合わせに調整されていくんです。

【顎関節症の治療法】
2.マイオモニター療法や温湿布

咀嚼筋(そしゃくきん)を電気でマッサージする「マイオモニター療法」や温湿布は、顎関節まわりの血行を促進します。
そして、ダメージを受けた筋肉や関節の修復を早めたり、筋肉の緊張をほぐしたりすることができるんです。

【顎関節症の治療法】
3.薬物療法

薬物療法は、薬を用いて痛みや炎症、筋肉への負担などを軽減させる方法です。
具体的には、以下のような薬を使用します。


1.消炎鎮痛剤
痛みや炎症を抑える効果があります。
2.筋弛緩剤(きんしかんざい)
咀嚼筋などの筋肉の緊張をゆるめる効果があります。
3.精神安定剤
ストレスを軽減させる効果があります。

薬物療法は、痛みや炎症がある人や、噛み締めなどで筋肉が常に緊張している人、ストレスによる歯ぎしりがひどい人に対しておこなわれます。

【顎関節症の治療法】
4.パンピング・マニピュレーション

パンピング・マニピュレーションとは、“注入と吸引を繰り返す操作”という意味です。
この治療法では、「関節腔(かんせつくう)に注射針を刺し、生理食塩水や局所麻酔剤で注入と吸引を繰り返します。

関節腔

この治療法では、関節内に溜まっている炎症性物質を洗い流すことができるので関節の炎症をしずめることができます。
また、関節腔を広げることができるので、ずれてしまった関節円板を動かすことができるんです。

【顎関節症の治療法】
5.関節腔内(かんせつくうない)洗浄療法

「関節腔内(かんせつくうない)洗浄療法」とは、先ほど説明した関節腔に、点滴で生理食塩水を注入し、排出用の針から排出することで、関節腔内を洗浄する治療法です。
この治療によって、関節腔に溜まっている炎症性物質を取り除いたり、くっついている関節同士を剥がしたりすることができます。

【顎関節症の治療法】
6.関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術

「関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術」は、関節円板を正しい位置に戻したり、正しい位置で固定したりする手術です。

先ほどお話ししたように、顎関節症の治療の基本は保存療法ですが、さまざまな保存療法を試しても効果がなかった場合は、関節鏡視下手術を行うことがあります。

この関節鏡視下手術は、関節腔内に「関節鏡(かんせつきょう)という小さなカメラを通して行うため、手術跡は2~3cmほどの小さい傷口ですみます。

ただ、関節鏡視下手術は全身麻酔をかける本格的な手術なので、入院の必要があります。
さらには、約1~2ヶ月のリハビリが必要となり、日常生活が送れるようになるまでには3ヶ月ほどかかります。


このように、専門医に相談した場合は、症状に合わせて治療を行っていきます。

ただ、先ほどお話ししたように、顎関節症はさまざまな要因が重なって起こる病気です。
その要因の多くは日常生活の動作やクセなので、実は、顎関節症は予防することができるんです!!

というわけで、最後に顎関節症を予防するセルフケアについてお話しします。
冒頭のセルフチェックで、9点に近かった人はぜひ試してくださいね。

日常動作に気をつけて顎関節症を予防しよう

顎関節症の予防の基本は、“顎関節に負担をかける動作をしない”ことです。

さっそく説明していきますね。


1.片側の歯だけで噛まない
左右どちらかの歯で噛んでいると、噛んでいる側の顎関節や咀嚼筋への負担が大きくなります。
だから、食事のときは両方の歯をバランスよく使いましょう。
また、フランスパンやスルメなどのかたいものを食べると、顎関節や咀嚼筋にかかる負担が大きくなるため、かたい食べ物ばかりを食べないように気をつけてくださいね。
2.頬杖、うつ伏せ寝をしない
頬杖やうつ伏せ寝をすると片方の顎関節への負担が大きくなり、あごの骨格が歪みやすくなってしまいます。
こうしたクセがある人は、改善するようにしましょう。
3.口を急いで開けない
急に大きく口を開けるとあごの関節を傷つけてしまう可能性があります。
だから、口はゆっくりと開けてください。
大きく口を開けてしまいがちな“あくび”のときは、あごの下に“げんこつ”を当てると、口が開きすぎないので試してみてくださいね。

上記以外にも、頬の筋肉をほぐしておくのも有効です。
硬いものを食べた後など、頬の筋肉が疲れていると感じたときは、蒸しタオルで顎関節のまわりを5分ほど温めましょう。
そのほか、人差し指から薬指の3本の指先で、顎関節まわりの筋肉をマッサージするのも効果的です。
強さは、痛みを感じない程度にしてくださいね。

筋肉をほぐして顎関節症を予防しよう

いかがでしたか?

顎関節症が悪化すると、顎の痛みだけではなく肩こりや頭痛などの症状が出てしまったり、手術が必要になったりします。

でも、症状が軽いうちなら、病院の保存療法によって改善することができます。
セルフチェックで顎関節症の疑いがあった人は、なるべく早く歯科や口腔外科などを受診してくださいね。

顎関節症になると大変そうですね・・・!

そうね。
看護師はストレスが多い仕事だから注意しないといけないわね。

はい!
今のところは大丈夫そうです!

・・・たしかに、リコちゃんは心配なさそうね。

なんでですか?

だって、リコちゃん、中村君を見るたびに顔の筋肉がゆるんでるじゃない。

あれだけ緩んでいたら、あごへの負担はまず心配ないと思うわ。

ほわわわわ・・・!


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